1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:50:44.20ID:BohB8u5i0


riina_tada2

李衣菜「あの病気にかかりそうにないプロデューサーが?」

ちひろ「そうなんですよ。今朝風邪で休ませてくれって連絡があって」

李衣菜「あのプロデューサーをダウンさせるなんて、かなりひどいんじゃ…」

ちひろ「ええ、電話口でも死にそうな声してて、流石に休養が必要だと判断したの」

李衣菜「心配ですね。それで、そのことを知ったみんなが今、言い争ってると」

ちひろ「そうなの。誰がお見舞いに行くかって話になったみたい」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1450151444

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2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:51:15.42ID:BohB8u5i0


凛「あのプロデューサーが風邪だなんて、すぐにお見舞いに行かないと」

まゆ「いいえ、ここはまゆが行って特製の手料理を」

きらり「Pちゃん大丈夫かにぃ、きらりもお見舞い行こうかな」

杏「人間だれしも風邪くらい引くって、寝とけばよくなるよ、杏はパスね」

幸子「風邪なんてボクのカワイイ姿を見れば一発で治りますよ!だからボクが」

卯月「お見舞いって何を持っていけばいいんでしょうか?」

未央「飲み物とか果物とか、水分がとりやすいものかな」

美嘉「冷えピタも用意しといたほうがよくない?」

ありす「風邪にはネギが効くと聞いたことがあります」

早苗「昔からよく言うわよね。こうネギをブスリと!」

加蓮「いや、前に試したことあるけど、それあんまり効果ないよ?」

奈緒「え!?マジでやったことあるのかっ!?」

楓「ネギを値切る…ふふっ」

3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:51:46.39ID:BohB8u5i0


李衣菜「うわぁ…すごいカオスなことに…」

みく「あ、李衣菜ちゃん、やっときたのかにゃ」

李衣菜「みくちゃんもお見舞い行く気なの?」

みく「当たり前にゃ!李衣菜ちゃんも行くでしょ?」

李衣菜「いやー、流石にこんな大勢が押し掛けるのは、迷惑じゃないかな?」

みく「李衣菜ちゃんが至極まっとうな意見を…」

李衣菜「いやいや、普通に考えたら分かるでしょ」

美波「そうなんだけど、みんな冷静な判断ができないみたい」

アーニャ「心配ですけど、迷惑はダメですね」

李衣菜「ちゃんと冷静な人たちもいてよかった」

ちひろ「李衣菜ちゃんの言う通り、迷惑がかかるし、それでみんなにうつっちゃったらいけないですし」

みく「でもでも、Pちゃんが心配にゃ」

ちひろ「仕方ないから、この手を使いましょう」

4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:52:32.16ID:BohB8u5i0


ちひろ「はーい、みんなちゅうもーく!!」

「なんだなんだ?」

「鬼が何か言うみたいだぞ?」

「また集金かー?この悪魔め」

ちひろ「あ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ちひろ「……大勢で押し掛けるのは迷惑なので、お見舞いに行く代表者を一人決めてもらいます」

凛「それこそ私が」

まゆ「いやまゆが」

ちひろ「と、まあこんな風に自己主張が激しくて、代表者を話し合いで決めると埒が明かないと思うので、みんなでくじびきをして決めてください」

未央「くじびきかー」

美嘉「まあ、公平だね」

ちひろ「あたりを引いた人に、プロデューサーさんの家の合鍵を渡しますので、お見舞いに行ってきてください」

「プロデューサー宅の合鍵!?」

「これは全力で手に入れないと!」

「よっ!神!天使!ちひろ!!」

李衣菜「(なんで合鍵を持ってることに、みんな疑問を持たないんだろ)」

ちひろ「はーい!それじゃあ、早速一人づつこの中からくじを引いてくださいねー」

わいわいがやがや

美波「さ、アーニャちゃん、私たちも引きにいこっか」

アーニャ「ダー」

李衣菜「あれ?二人も引くの?」

美波「まあ折角だしね、プロデューサーさんのことは心配だから」

みく「ほらほら、李衣菜ちゃんも引きに行くにゃ」

李衣菜「まあ、私も心配だし、もし当たったら行ってもいいかな」

5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:53:14.27ID:BohB8u5i0


李衣菜「……ここがプロデューサーの家」

李衣菜「それにしても、みんな素直に身を引いたなぁ。もっとごねると思ったのに」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ちひろ「というわけで、あたりを引いた李衣菜ちゃんに行ってもらいます」

凛「しょうがない、今回は譲るよ」

凛「(残念だけど、まゆじゃなくてよかった)」

まゆ「李衣菜ちゃん、今度どんな様子だったか聞かせて下さいね?」

まゆ「(凛ちゃんじゃないなら良しとしますか)」

凛・まゆ「「(李衣菜(ちゃん)なら、変なことも起きないだろうし)」」

「あーあ、残念。行きたかったなー」

「まあ、くじびきだし仕方ないよ」

「いやー、なかなか面白かったねー」

美波「李衣菜ちゃんなら安心ね」

みく「李衣菜ちゃん、Pちゃんのこと頼んだにゃ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

李衣菜「まあ、イベントみたいな感じで参加してた人もいたしね」

6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:53:41.09ID:BohB8u5i0


李衣菜「それにしても、実際に家の前までくると、ちょっと緊張してきたかも」

李衣菜「プロデューサーとはいえ、男の人の家に行くのなんて初めてだし…」

李衣菜「なんか、心音が早くなってきた気も…」

李衣菜「ううん、これは単なるお見舞いだし」

李衣菜「寝てるかもしれないし、呼び鈴は鳴らさないほうがいいのかな?」

李衣菜「ちひろさんにもらった合鍵使って…っと」ガチャ

李衣菜「ほんとに開いたし…」

李衣菜「…お邪魔しまーす」

7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:54:32.75ID:BohB8u5i0


モバP「あーもう、なんだこれ…」

モバP「頭痛いし、目もかすむし…」

モバP「ゴホッ!ゴホッ!」

モバP「ふぅ…病気になったのなんていつ振りだろ」

モバP「休ませてもらったけど、健康管理が出来てないなんて、社会人としてあるまじき失態だよなぁ…はぁ」

モバP「復帰したら色々と埋め合わせしないといけないな…」

8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:54:59.25ID:BohB8u5i0


ガチャ

モバP「っ!?」

モバP「(今のは玄関の扉の音か?)」

モバP「(何故だ?俺が家にいるし、鍵はそこにある)」

モバP「(つまり…空き巣か強盗?)」

モバP「(くそっ…なんだってこんな時に…)」

モバP「(万全な状態なら強盗の一人や二人くらいならわけないが)」

モバP「(考えてても仕方ない…様子を見に行くか)」

9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:55:33.30ID:BohB8u5i0


李衣菜「うわー…ほんとにプロデューサーの家に来ちゃったんだ」

李衣菜「プロデューサーの部屋ってどこだろ?」

李衣菜「こっちかな?…って、こっちは台所か」

李衣菜「一応色々食べ物も買ってきたし、さきに冷蔵庫に入れるものいれとこ」

10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:56:00.44ID:BohB8u5i0


モバP「(廊下には姿は見えず…)」

モバP「(玄関にあるのは…スニーカーか?)」

モバP「(サイズ的には随分小さいな…小柄な男か女か…)」

モバP「(人数は一人か…一人なら持ってる凶器次第だが制圧できるか)」

モバP「(台所の扉が開いてる…静かに近づいて…)」

11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:56:48.32ID:BohB8u5i0


李衣菜「うわぁ…冷蔵庫の中からっぽ。多めに買ってきて正解だったかな」

李衣菜「プロデューサーって自炊しないのかな?」

李衣菜「一人暮らしの男の人だし、そうなのかも」

李衣菜「調味料とかはあるみたいだし、これなら何とかなりそう」

12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:57:17.87ID:BohB8u5i0


モバP「(くそっ…目がかすんでよく見えないが…背丈は小さいな)」

モバP「(髪もそんなに長くない…少年か?)」

モバP「(冷蔵庫を漁っている様子…残念だがうちにはまともな食糧は無い!)」

モバP「(胸張って言えることでもないな…)」

モバP「(手に凶器を持っているようには見えないな…)」

モバP「(気づかれる前に背後から制圧してやる)」

13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:58:04.49ID:BohB8u5i0


モバP「………ゴホッ」

?「ひゃんっ!?」

モバP「(…しまった!ここにきて咳が!気づかれた…なら速攻で…!)」

14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:58:32.52ID:BohB8u5i0


李衣菜「よし、こんなもんかな」

「………ゴホッ」

李衣菜「ひゃんっ!(今のは咳?プロデューサー起きてきちゃったのかな?)」

李衣菜「って、むぐぅ!?(何々!?いきなり口と両手が塞がれたんだけど!)」

モバP「声を上げるなよ…空き巣だとしたら、狙った家が悪かったな」

李衣菜「(プ、プロデューサーだ!私のことを空き巣だと勘違いしてる?)」

モバP「このままおとなしくしていろ。下手な抵抗すると、多少の痛い目は覚悟してもらうぞ?」

李衣菜「んー!むー!(プロデューサー気づいて!気づいて!)」

モバP「ちっ!暴れるな!(くそ…風邪のせいかうまく力が入らない)」

李衣菜「(口元の手が緩んだ?)…ぷはっ」

李衣菜「プロデューサー!私です!李衣菜ですよっ!」

15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:59:03.83ID:BohB8u5i0


モバP「……李衣菜?」

李衣菜「ちひろさんに合鍵貸してもらって、お見舞いに来たんです!」

モバP「お見舞い…?(なんで家の合鍵をちひろさんが…?)」

李衣菜「なので、そろそろ手を離してもらえないかなーと」

モバP「うわっ、とと、すまん!」

李衣菜「ふう」

モバP「本当にすまん!完全に空き巣かなにかだと勘違いしてしまっていた。熱のせいで冷静な判断が出来なかったのもあるが、悪かった!許してくれ!」

李衣菜「ちょ、そんなに謝らないでくださいよ」

李衣菜「呼び鈴鳴らさずに入ってきた私も悪いんですから」

モバP「いや、後姿で李衣菜だと気付けていればこんなことには…」

李衣菜「もういいですから…って、プロデューサー顔真っ赤じゃないですか!」

モバP「あー、なんか急に動いたから熱上がったかもしれん…」

モバP「空き巣じゃなくて李衣菜だと分かったら安心して……あっ」

李衣菜「わあっ!ちょ!?プロデューサーが倒れたー!!」

モバP「ゴホッ!…緊張の糸が切れたみたいだ…すまんが部屋まで肩かしてくれ」

李衣菜「わ、分かりました…うっ、プロデューサー、重いっ」

モバP「悪い、あんまり力入らなくて…そこの奥の部屋だ」

16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)12:59:38.59ID:BohB8u5i0


李衣菜「ふぅ…どうにかここまでこれた」

モバP「ありがとう、助かった」

李衣菜「どういたしまして」

モバP「それにしても、まさか李衣菜がお見舞いに来るとは…」

モバP「来るにしても、凛やまゆが率先してくるもんだと思ってたが…」

李衣菜「あはは、まあ、その二人を筆頭に事務所じゃみんな自分が行くって聞かなくて」

モバP「容易に場面が想像できてしまうな」

李衣菜「それで、ちひろさんがくじ引きにしてお見舞いに行く一人を決めたんです」

モバP「それで李衣菜に決まったと」

李衣菜「そうなります」

モバP「にしても、なんでちひろさんは家の鍵を持ってるのか」

李衣菜「さぁ?(プロデューサー本人もわからないんだ…)」

モバP「今度ちひろさんを問い詰めよう」

モバP「お見舞いに来てくれたのは嬉しいが、風邪をうつしてしまわないか心配だな」

李衣菜「その時はその時ですよ。ちょっと失礼しますね…」ぴとっ

モバP「ちべたっ!?」

李衣菜「熱っ!?」

李衣菜「プロデューサー、熱計りました?余裕で39度くらいあるんじゃないですか?」

モバP「あー、朝計った時は38度後半だったけど、上がったかな」

モバP「にしても、李衣菜の冷たい手が気持ちいい…」

李衣菜「もう、変なこと言わないでください!」

李衣菜「汗もかいてるみたいだし、冷えピタよりは濡れタオルのほうがいいかな」

李衣菜「用意してくるんで待ってて下さいね」

モバP「分かった」

モバP「…………」

モバP「……すぅ」

17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:00:08.10ID:BohB8u5i0


李衣菜「プロデューサー、用意してきましたよー……」

モバP「すぅ…すぅ…」

李衣菜「寝ちゃってる」

李衣菜「起こさないように軽く汗ふいて…」

李衣菜「しぼったタオルをおでこに乗せてっと、よし」

李衣菜「冷蔵庫も空だったし、何かを食べたような形跡もなかった」

李衣菜「これじゃ治るものも治らないって」

李衣菜「寝てる間におかゆでも作っておこうかな」

18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:00:36.82ID:BohB8u5i0


李衣菜「よし、完成」

李衣菜「後はプロデューサーが起きたときに温めればOK」

李衣菜「…お鍋や包丁なんかの器具は一通りそろってたけど、普段から使ってる様子はないなぁ」

李衣菜「やっぱり忙しくて自炊する時間とかないんだろうし」

李衣菜「今回の風邪も忙しさからくる疲れとかが原因かなぁ?」

李衣菜「やっぱりプロデューサーは、いつも一人で頑張り過ぎだよね」

李衣菜「今日くらいはちゃんと休ませてあげなきゃ」

李衣菜「割と時間経ったし、濡れタオル替えてあげないと」

19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:01:04.39ID:BohB8u5i0


李衣菜「(うん、まだ寝てる)」

李衣菜「(けど、暑かったのか寝相が悪いのか、布団がはだけて)」

李衣菜「(さっきは慌ててたから気にしてなかったけど、今日のプロデューサー、スーツじゃないや)」

李衣菜「(海に行っても山に行ってもスーツだったのに、これってかなりレアな姿だよね)」

李衣菜「(よく見ると、手とかおっきい…)」

李衣菜「(捕まえられた時も、あんなに力も強くて…)」

李衣菜「(普段はそんなに意識しないけど、プロデューサーも、やっぱり男の人なんだなぁ…)」

李衣菜「って、何意識しちゃってんだろ、私」

モバP「…んー?李衣菜?」

李衣菜「ひゃうっ!?」

モバP「どうした?そんなに驚いて」

李衣菜「な、なんでもないです…。起こしちゃって、すいません」

モバP「いや、ずっと寝たまんまなのも体に悪いしな。それに、腹が減った」

モバP「うちの冷蔵庫なんもなかったろ?ちょっと買いに出るか」

李衣菜「あ、大丈夫です!一応食べ物は色々買ってきてますし、おかゆ作ってあるんでそれ食べて下さい」

モバP「ほんとか?それは助かるな。動くのもつらかったし」

李衣菜「今温めなおして持ってきますね」

20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:01:35.88ID:BohB8u5i0


李衣菜「お待たせしましたー」

モバP「おー、久しぶりにまともな飯だ」

李衣菜「………」

モバP「どうした?」

李衣菜「おかゆがまともな飯って、どんな食生活してるんですか?冷蔵庫にも調味料くらいしか入ってなかったですし」

モバP「ウィダーとかカロリーメイトとか」

李衣菜「そんな食生活してるから風邪なんて引くんですよ!」

モバP「まさしくその通りで耳が痛いです…」

李衣菜「まったくもう…はい、どうぞ」

モバP「おー、うまそうだ!いただきます…って、あれ?」

李衣菜「どうしたんですか?」

モバP「いや、なんか手が震えてスプーンがうまく持てなくてな」

李衣菜「ほんとどんだけ極限状態になってるんですか!…しかたないなぁ」

21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:02:02.58ID:BohB8u5i0


李衣菜「…はい、あーん」

モバP「ちょ!?それはさすがに恥ずかしいぞ」

李衣菜「私だって恥ずかしいんですから!」

李衣菜「それじゃプロデューサー、今の状態で自分で食べられるんですか?」

モバP「…食べられません」

李衣菜「だったら観念してください。はい、あーん」

モバP「あ、あーん…あちちっ」

モバP「…もぐもぐ、うん美味しい」

李衣菜「ならよかったです。ちゃんとよく噛んで食べてくださいよ?あーん」

モバP「あーん」

22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:02:34.25ID:BohB8u5i0


モバP「ごちそうさまでした」

李衣菜「お粗末様でした」

モバP「いやぁ、実に美味しかった」

李衣菜「後でまた食べられるように多めに作ってたのに、一度に全部平らげましたね」

モバP「それだけ美味しかったからな。おかげでかなり落ち着いたよ」

李衣菜「薬も飲んで、顔色もさっきよりよくなったみたいですしね」

李衣菜「それじゃ食器片づけてきます。熱が下がったわけじゃないんですから、まだ安静にしといてくださいね」

23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:03:01.88ID:BohB8u5i0


モバP「こんな風に看病されるのは小学生以来かな…」

モバP「あんときは母さんが一日そばにいて看病してくれたっけ」

モバP「病気の時は誰かが一緒にいてくれると安心できるんだよな」

モバP「見舞いに来てくれたのが李衣菜でよかった」

モバP「なんというか、李衣菜なら任せてて安心できる気がする」

モバP「普段はあんなにロックロック言ってるのになぁ」

モバP「あー、風邪薬のせいかまた眠くなってきた…」

モバP「もう一眠りさせてもらおう……すぅ」

24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:03:27.77ID:BohB8u5i0


李衣菜「戻りましたよ…っと、また寝てる」

李衣菜「薬が効いてきたのかな?」

李衣菜「熱は…さっきよりは下がってるけど、まだあるなぁ」

李衣菜「明日には下がってるといいけど」

李衣菜「うーん、なんか私も眠くなってきた…」

李衣菜「終電まではまだまだ時間あるし、私も少しだけ……」

李衣菜「………すぅ」

25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:04:23.83ID:BohB8u5i0


モバP「んっ…んー、ふわぁ〜…よく寝た」

モバP「外もめっきり暗くなってるし、今何時だ?」

モバP「もう24時回って日付変わってるじゃん」

モバP「なんか李衣菜が見舞いに来てくれてた気がするが…」

李衣菜「…んんぅ」

モバP「ああ、いるな。夢とかじゃなかったみたい…だ…?」

モバP「何故こんな時間なのにまだ家にいるんだ!?」

26:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:04:53.15ID:BohB8u5i0


李衣菜「へぁ?…あ、プロデューサー、おはようございます…」

モバP「お、おはよう…」

李衣菜「んー…なんか、途中で寝ちゃったみたいです。今何時ですか?」

モバP「24時過ぎ」

李衣菜「……え?」

モバP「すでに日付が変わってる時間だよ」

李衣菜「えーっ!!わ、私、そんなに長い間眠ってたんですかっ!?」

李衣菜「うわっ!お母さんから電話入ってる!」

モバP「この時間だと終電は?」

李衣菜「もう終わってます」

モバP「俺は、さすがにまだ車が運転できる状態じゃないし…」

李衣菜「どうしよう…」

27:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:05:19.84ID:BohB8u5i0


モバP「仕方ない…李衣菜、泊まっていけ」

李衣菜「ふえっ!?」

モバP「こんな時間に外に放り出すわけにもいかないしな。とりあえず親御さんに連絡は取っといてくれるか」

李衣菜「ひゃ、ひゃい!連絡してきましゅ」

28:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:05:46.44ID:BohB8u5i0


李衣菜「あ、もしもし、お母さん?」

李衣菜「うん、連絡遅くなってごめんなさい」

李衣菜「ちょっと仕事で遅くなって、終電逃しちゃって」

李衣菜「今日はそのままみくちゃんのところに泊めてもらうから」

李衣菜「うん、心配しなくても大丈夫。明日にはちゃんと帰るから」

李衣菜「うん、うん、次からはちゃんと早めに連絡するようにする」

李衣菜「はい、それじゃおやすみなさい」

29:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:06:15.08ID:BohB8u5i0


李衣菜「…ひゃー!ヤバイよ、コレ!」

李衣菜「なんか正直に言えなくて、つい嘘ついちゃった」

李衣菜「嘘ついて外泊なんて初めてだよ、しかもプロデューサーとはいえ男の人の家だし」

李衣菜「もしこれがばれちゃったら、お父さんに叱られるなぁ…」

李衣菜「でも、こうなっちゃったものはしょうがない…のかな」

李衣菜「あ、凛ちゃんやまゆちゃんにはこのこと絶対言えないや」

30:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:06:52.91ID:BohB8u5i0


モバP「親御さんに連絡はついたか」

李衣菜「はい、一応大丈夫です」

モバP「まさかこんなことになるなんてな」

李衣菜「あはは…そうですね」

モバP「悪いな、つい安心しきって長く寝てしまった…」

李衣菜「私もプロデューサーの寝顔見てたら、つい眠くなって…」

モバP「…………………」

李衣菜「…………………」

モバP「と、とりあえず、布団の用意するな」

李衣菜「あ、プロデューサーは寝てて下さい。布団の場所教えてくれれば自分で敷きますから」

モバP「いやいや、これくらいなら俺が…」ふらっ

李衣菜「あっ、そんな急に立ち上がると…」ドシーン!

31:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:07:22.07ID:BohB8u5i0


モバP「いててて…すまん、バランス崩した」

李衣菜「(うわわわ!プロデューサーの顔が近い近い近い!!)」

モバP「どっか怪我とかしてないか?」

李衣菜「だ、だだだ、大丈夫ですから、その、早くどいてもらえると…」

モバP「おっと、すまん。やっぱ、一日寝てたら体が鈍るな」

李衣菜「だから私がやるって言ったじゃないですか!」

李衣菜「(何かすごく顔が熱い!プロデューサーのほう見れない!)」

モバP「とりあえず、布団はそこの押入れに入ってる」

李衣菜「は、はい!出しときます。プロデューサー、かなり汗かいてるみたいなんで、着替えて来たらどうですか?」

モバP「あー、言われてみるとそうだな。一日これ来てたし、別の奴着てくるよ」

32:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:07:50.09ID:BohB8u5i0


李衣菜「(あーあー、なんでプロデューサー相手にこんなにドキドキしてるんだろ)」

李衣菜「(いつもはこんなことないのに…)」

李衣菜「(なんかいつもと違う姿を見てるからか、今日はプロデューサーを男の人として意識しちゃうし…)」

李衣菜「(さっきもあんなに顔が近くに…)」

李衣菜「あーもう!さっさと布団敷いちゃお」

33:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:08:18.66ID:BohB8u5i0


モバP「(着替えて帰ってきたら、普通にベッドの隣に布団が敷かれていた)」

李衣菜「(なんで私、そのままここに敷いたんだろ)」

モバP「じゃ、じゃあ俺は向こうの部屋で寝るよ!」

李衣菜「い、いえいえ、お構いなく」

モバP「(何故か遠慮されてしまった)」

李衣菜「(何故か遠慮してしまった)」

モバP「あー…李衣菜は一緒の部屋でいいのか?」

李衣菜「べ、別に構いませんよ。プロデューサーに何かあった時すぐに対応できますし」

李衣菜「それに、一緒の部屋で寝るってなんかロックじゃないですか!」

モバP・李衣菜「「(何がロックなんだろう?)」」

李衣菜「だ、だから大丈夫です。プロデューサーのこと信じてますし…」

モバP「了解した。断じて変な事はしないと誓う」

李衣菜「(それはそれでなんか悔しいかも…)」

李衣菜「悔しいって何!?」

モバP「やっぱやめとくか!?」

李衣菜「いえ、なんでもないです!大丈夫です!気にしないでください」

モバP「そ、そうか。じゃあ、電気消すぞ。暗かったらそのうち眠るだろうし」

李衣菜「は、はい。そうですね」

34:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:08:55.01ID:BohB8u5i0


カチカチカチカチ

モバP「……………」

李衣菜「……………」

李衣菜「(ね、眠れない…)」

李衣菜「(真っ暗だから視覚以外が過敏になって、時計の音とか、プロデューサーの呼吸音とか聞こえてきて…)」

李衣菜「(…………ドキドキ)」

モバP「李衣菜、もう寝たか?」

李衣菜「い、いえ、まだ寝つけなくて…」

モバP「まあ、長い間寝てたしな」

モバP「…今日は、来てくれてありがとな」

李衣菜「私が来たのはくじびきで…」

モバP「それでも李衣菜が看病してくれたのは事実だろ」

モバP「この年になってもさ。病気になると一人じゃ不安になるんだよ」

モバP「でも、李衣菜が来てくれて、色々と世話焼いてくれてさ」

モバP「正直嬉しかった」

李衣菜「………」

モバP「だから、何かお礼がしたい。何か一つ、お願いを聞くよ。俺にできることならなんでもいい」

李衣菜「…お願い」

モバP「別にすぐに決めなくていいよ。思いついたときでいいからさ」

李衣菜「考えておきます」

モバP「ああ。それじゃおやすみ」

李衣菜「…おやすみなさい」

35:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:09:29.16ID:BohB8u5i0


李衣菜「(お願いかぁ…)」

李衣菜「(これと言って思いつかないなぁ…)」

李衣菜「(ほんとにくじびきで私になっただけだし、そんな大層なこともしてないし…)」

李衣菜「(でも、折角の提案だし、何か考えないと…)」

李衣菜「(何にしようかな…)」

李衣菜「(………すぅ)」

36:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:10:00.71ID:BohB8u5i0


モバP「んー」

モバP「熱は無いし、体も軽い。快調快調、完全復活!」

モバP「それもこれも李衣菜のおかげかな」

モバP「…あれ?李衣菜のやつもういない。布団も出てないし」

モバP「ここまできてさすがに夢なんてことはないだろうけど」

モバP「とりあえず、起きるか」

37:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:10:27.08ID:BohB8u5i0


李衣菜「あ、プロデューサー、おはようございます」

モバP「あ、ちゃんとまだいた。おはよう、李衣菜」

モバP「何してるんだ?」

李衣菜「見て分かりませんか?朝食作ってるんですけど」

モバP「李衣菜って、おかゆ以外にも料理作れるのか!?」

李衣菜「失礼な!これでも人並み以上にはできますよ!」

李衣菜「ていうか、なんでおかゆしか作れないと思ってるんですか」

モバP「なんか李衣菜って料理できるイメージないし」

李衣菜「だったら見てて下さいよ。もう少しで出来上がりますから」

38:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:10:56.46ID:BohB8u5i0


モバP「おぉ…」

モバP「家の食卓に、ごはん・味噌汁・焼き魚・卵焼き・漬物が並んでる…」

李衣菜「このくらいの朝食なら朝飯前ですよ!」

モバP「確かに、朝食の調理は朝飯前にしかできないわな」

李衣菜「まあそんなことはいいんです。さっそく食べてみてくださいよ」

モバP「それでは、いただきます」

モバP「パクパクもぐもぐ」

李衣菜「どうですか?」

モバP「う、美味い…昨日のおかゆもうまかったけど、それより格段に美味い」

李衣菜「これでも料理のレパートリーは豊富なんですよ?」

李衣菜「機会があればプロデューサーにもごちそうしてあげます」

モバP「是非お願いしたい」

モバP「つーか、この味噌汁毎日飲みたい」

李衣菜「……それ、古典的なプロポーズですか?」

モバP「そういわれるとそんなセリフあったな。いや、しかし素でそう思えるくらい美味しいんだ」

モバP「こう、お世辞じゃなく、いいお嫁さんになれると思う、うん」

李衣菜「えへへ、褒められて悪い気はしませんね」

李衣菜「それじゃ私も食べようっと」

39:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:11:26.69ID:BohB8u5i0


モバP「ご馳走でした」

李衣菜「お粗末様でした」

李衣菜「それじゃ、私はそろそろ帰りますね」

モバP「車で送って行こうか?」

李衣菜「いやいや、大丈夫です。帰りにちょっと寄るところがあるんで」

モバP「そうか?」

モバP「いやぁ、それにしても助かったよ。昨日からほんとありがとな」

李衣菜「別に大したことしてませんから」

李衣菜「あ、そういえば、お願いの件なんですけど」

モバP「お、もう決めたのか?別にそんなにすぐに決めなくていいんだぞ?」

李衣菜「いえ、もう決めました」

モバP「どんなお願いだ?」

40:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:12:00.54ID:BohB8u5i0


李衣菜「もし私が病気になったら、プロデューサーが看病してください」

モバP「お?」

李衣菜「今回私が看病したので、そのお返しならこれがいいかなって」

モバP「まあ、李衣菜がいいならそれでいいけど」

李衣菜「じゃあ、約束ですよ?」

モバP「ああ、約束だ」

41:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:12:30.85ID:BohB8u5i0


李衣菜「それじゃお邪魔しました」

モバP「おう、気をつけて帰るんだぞ」

李衣菜「分かってますって」

李衣菜「いいお嫁さんになる…か、えへへ」

李衣菜「さーて、帰りに本屋でレシピ本買って帰ろ」

李衣菜「もう少し、レパートリー増やしといても損はないしね」

42:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:13:12.01ID:BohB8u5i0


〜5年後〜

李衣菜「とまあ、これが主人を最初に意識し始めたきっかけですよ」

モバP「なんというか恥ずかしい出来事でもあるが、今ではいい思い出だな」

マスコミ「ここから紆余曲折あって、今に至ると」

マスコミ「この件に関して、別のアイドルはこうコメントしています」

凛『まさか、李衣菜に持って行かれるなんて、思わなかったよ』

まゆ『あの時、あたりを引けなかった時点で勝敗は決したのかもしれませんね』

李衣菜「ほんとにそうだったかもしれません」

李衣菜「あの時あたりを引いてなかったら、主人を男性だと意識することはなかったと思いますから」

モバP「俺もあんな風に看病されなかったら、意識しなかっただろうなぁ。あの後、完璧に胃袋掴まれたし」

マスコミ「さまざまな偶然が絡んだ結果でもあるわけですね」

43:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/15(火)13:13:48.28ID:BohB8u5i0


マスコミ「そういえば、李衣菜さんがしたお願い、病気になった際の看病という約束はどうなったんですか?」

李衣菜「ああ、あの約束だったら今看病してもらってます」

マスコミ「今、といいますと?」

李衣菜「こういうのは恥ずかしいんですけど、私が恋の病にかかったみたいなんで」

モバP「死ぬまで一緒にいて看病することにしました」

マスコミ「惚気てくれますねぇ。しかし、仲睦まじくていいことです」

マスコミ「今回は取材協力ありがとうございました」

マスコミ「お二人の将来、どうか末永くお幸せに」

元スレ:李衣菜「プロデューサーが風邪?」http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450151444/